2008年12月14日日曜日

数学と物理の言葉の違い

数学と物理で,慣習的に同じ概念を違う言葉で表すことがある。

例えば,線型空間 V の任意の元が,V の部分集合 {vi} の元の線型結合で表せるとき,数学では「{vi} は V の生成系である」などというが,物理学者はしばしば「{vi} は完備である」などという。「完備」は complete の訳語だろう。「完全系」などともいう。

これが齟齬を来すこともある。

学生の頃,量子力学関係の何かの集中講義に数学科の学生が二人潜っていた。教師が「○○は完備です」というと,彼らは解析や位相でいうところの完備(こちらも complete)と誤解し,どう考えても完備じゃないので,間違ったことを言ったと思ってツッコミを入れていた。私はフォローしようとしたが,それを先生は遮り,両者に誤解だけが残った。

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