2008年12月10日水曜日

套印本

「套印本」。うーむ,見るからに難しげな言葉だ。読み方すら分からない。木版印刷に関する資料によく書いてあるのだけど。

調べたところ,トウインボンと読むそうだ。そういえば「外套(がいとう)=コート」とか「常套手段」の「套」だ。「套印本」の意味は「多色印刷の版本」。狭義には,墨を含む四色印刷のものを指すらしい。版本(はんぽん)というのは,おおざっぱには木版印刷で刷られた本のことと思ってほしい。

「套」の字には「かさねる」の意味がある。重ね刷りしたものが套印本で,身体に外から覆い重ねるのが外套というわけだ。「套」には「ふるくさい」という意味もあり,ここから「常套=ありきたりの」という言葉が出来る。

套印本が現れたのは元(げん)の時代。墨と朱の二色で刷る朱墨套印というものだ。明(みん)の時代になると技術が発達し,芸術性の高い多色印刷が行われるようになったという。

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